取組紹介 2019年2月22日

愛知・名古屋の食文化の魅力を再発見する
「なごやめしサミット」でも話題に!
「あいちサラダめし」がソーシャルムーブメントを巻き起こす!

愛知県の人たちに野菜をもっと美味しく、もっとたくさん食べてもらおうとスタートした「あいち みんなのサラダ」プロジェクト。サラダスタイルの新しいご当地グルメとして注目され始める中、1月31日(木)に開催された、なごやめし普及促進協議会「なごやめしサミット」においても“コラボなごやめし”の事例として、「あいち みんなのサラダ」の取り組みが紹介されました。

なごやめし普及促進協議会は、愛知・名古屋で愛されてきた地域独特の料理の魅力を再発見し、貴重な観光コンテンツの一つとしてPRしようと設立された協議会。「あいち みんなのサラダ」プロジェクトの実行委員でもある、名古屋めし評論家でフリーライターの大竹敏之さんも、協議会のアドバイザーを務めています。

今回開催された「なごやめしサミット」では、「コラボで広がる! なごやめしの魅力と発信力」というテーマのもと、なごやめしの魅力や可能性、未来について考えようと飲食店や食品メーカー、観光業界の関係者らが集結。第1部では、大竹さんが「あなたの知らない“真実のなごやめし”」と題した基調講演を行いました。

講演の中では、味噌カツ、味噌煮込みうどん、手羽先、ういろ、鉄板ナポリタン、エビフライなど、なごやめしの多彩さを解説した大竹さん。そのバラエティに富んだなごやめしに共通する特徴の一つとして“うま味の濃さ”を挙げました。根拠となるのは、なごやめしの象徴であり、「あいちサラダめし」でもルールの一つになっている豆味噌。東海地方だけで製造、消費されている特異な調味料であることや、他の米味噌や豆味噌と比べてうま味成分であるグルタミン酸がおよそ2倍もあることを解説。長期熟成していて味わいが安定していることから、煮込めば煮込むほどうま味が増すため、味噌煮込みやどて煮などの料理が生まれる背景にもなったと語りました。

大竹さんは講演の締めくくりとして「なごやめしは地域の伝統、風土に根ざした食文化であり、日本食の最大の強みでもあるうま味をわかりやすく表現した料理。日本独特の味わいや魅力が詰まっている食である」と力説。立派な“日本食代表”としてアピールしていきましょうと訴えました。

 

第2部のシンポジウムではまず、カルビー株式会社と株式会社伊藤園が、なごやめしとのコラボ事例を発表。カルビーが発売した「てばさき味」と「台湾ラーメン味」の「ポテトチップス」誕生までの裏話、伊藤園が取り組んだなごやめしと「黄金烏龍茶」のマッチングなどについて、紹介されました。

続いて行われた座談会では、大竹さんが進行役となり「コラボめし開発秘話と展望」をテーマに、寿がきや食品株式会社商品開発部の岡田友志氏、森永製菓株式会社中部統括支店の益子亮二氏、ソーシャルプランナーの波房克典氏が登壇。

寿がきや食品の岡田氏からは、台湾ラーメンやみそ煮込みうどん、きしめん、カレー煮込みうどん、あんかけスパ、鉄板イタリアン、手羽先など多種多様なご当地商品のラインアップが紹介されました。さらに、地元に根ざした企業として、郷土の味を未来へ伝える使命感のもとに商品開発を行っているという、愛知・名古屋の食文化に対する情熱が語られました。
続いて紹介されたのが、森永製菓の「おっとっと〈矢場とん みそかつ味〉」と、コメダ珈琲店監修による「小枝〈シロノワール味〉」。スーパーマーケットなどの小売店による既存のルートではなく、土産物としての売り場、販売ルートの開拓がヒットにつながったという販売面での新たなヒントなどが紹介されました。

続いては「あいち みんなのサラダ」プロジェクトのプロデュースをはじめ、様々なソーシャルムーブメントの仕掛け人でもある波房克典氏が、地域を活性化させるためのご当地グルメの可能性を解説しました。
まずは、現在進行中の「あいち みんなのサラダ」プロジェクトについて、全国でもトップ10に入る収穫量を誇るほど有数の農業産出地域であるにもかかわらず、愛知県民の野菜摂取量が成人男性は全国ワースト1位、女性はワースト3位であるという背景を紹介。“作っているのに食べていない!”という愛知県民の野菜離れの課題に対して、どうやって県民に野菜の魅力を伝えていくか、もっと野菜を食べてもらえるように促すかということについて、大竹氏をはじめとした実行委員会のメンバーと議論を重ねたエピソードを披露。愛知県民の嗜好を様々な角度から分析したことが明らかになりました。

ポイントとなったのは、豆味噌に起因するうま味に敏感である、ボリューム感や食べ応えを重要視する、組み合わせの意外性に心を動かされやすいなどの県民性。それらの要素をヒントに、豆味噌を使った肉みそを取り入れること、主食の一部を野菜に置き換えて野菜でかさ増ししてボリューム感を出すこと、一皿で完結するワンプレート・ワンボウルスタイルにすることなど、サラダスタイルの新しいなごやめしとして受け入れられ、親しまれるようにとの思いから、ルールが決められた経緯が語られました。

ソーシャルムーブメントを起こすために欠かすことのできないポイントは、“クールビズ”や“イクメン”などに象徴されるように、潜在的な共感を言語化する、顕在化させるという仕掛けであると解説した波房氏。
今回の「あいち みんなのサラダ」プロジェクトについても、事務局や実行委員からの発信により“愛知県の野菜のおいしさを知ってもらおう” “愛知県民のみなさんにもっと野菜を食べてもらおう”という主旨に賛同する店舗やメーカーの中で、取り組みの輪が広がっていることをアピール。飲食店やメーカーが、プロジェクトのルールにのっとり、それぞれの個性や特徴を活かした独自の「あいちサラダめし」を開発、売り出しを始めています。
波房氏は、「あいち みんなのサラダ」プロジェクトは、ソーシャルムーブメントを起こす要素が詰まっている最たる取り組みであると説明。新スタイルのなごやめしとしての今後の広がりに自信をのぞかせました。

 

「なごやめしサミット」の締めくくりとして進行役の大竹さんは、愛知・名古屋の食文化を発信していくためには、うま味という特徴があることなど、地元の食文化の背景や肝となる部分への理解があることの重要性や、地域愛の大事さを熱弁。
「あいち みんなのサラダ」プロジェクトにおいても、豆味噌というこの土地ならではの調味料を核とし、地元野菜への理解を深めるための取り組みを続けていることなど、共通するポイントが多くあります。今後、愛知・名古屋の新たな名物グルメとしてますます広がりを見せ、浸透していく可能性を大いに感じさせられました。

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